グルコサミンの原理

医療の質が求められるようになると、医者の専門をはっきり打ち出すことが、患者メリットが大きいと考えるようになり、専門医が見直されるようになった。 1962年に日本で最初の専門医制度である麻酔科の「指導医制度」ができる。
そのあと大学紛争などがあったこともあり、専門医制度の整備が滞る。 ようやく1981年になって内科、外科、小児科などの基本的な診療領域の助学会を中心とする「学会認定医制協議会」ができた。
この学会認定医制協議会は、患者には直接関係のない制度であり、また、あまりに学会志向であったため、その役割を一般的に説明するのはむずかしかった。 1986年に日本医学会、日本医師会と学会認定医制協議会で「三者懇談会」が発足した。
日本医学会は医科系の学会単位の加盟で、現在、105分科会がある。 日本医学会は、日本医師会のなかに置かれ、日本医師会と密接な連携を保っている。
日本医学会の主たる事業は、4年に1回の日本医学会総会の開催であるといってもいい。 日本医師会は、会員約舶万5000人の民間の学術専門団体である。

学会認定医制協議会は、日本での専門医制度の遅れがあったことと、各学会が独自の専門医制度をつくり、混乱があり、それを統一するためにつくられた協議会である。 198会や内科専門医制審議会長の呼びかけで最初の会議が行われ、以後好余曲折があり、日本専門医認定制機構となっている。
それまでは、日本医師会側は「医師の間に格差は作らない」という態度であったが、ようやく話し合いの場を持てるようになった。 専門医資格を潔定する団体の基準(厚生労働省告示第159号1号の基準)いうことになっている。
医師の専門と看板が一致しないことがままある。 こうした状況を変えるために、専門医資格と診療科の一致を目指すのが現在の状態である。
その転機となったのが2002年4月だ。 このときから専門医資格の広告が可能になったからだ。
現状では、学会の基準で専門医と認定されているにすぎず、専門医の認定要件が制度的に固まっていない。 学会によっては専門医の認定要件が、専門的な知識があるかどうかを問うというよりも、その学会に所属しているかどうかを問うという意味でしかないこともある。
つまり、日本の専門医制度は専門的な技術や知識を保証するものにはなっておらず、患者が本当に必要としている特別な高度医療を提供できているわけではない。 なぜ日本の専門医制度がこのような中途半端な形になったのか。
その原因としては、専門医の導入時期に既存の会員を書類だけで専門医学して認定したことが指摘で言色だろう。 より根源的な原因レアしては、専門医の認定基準を「資格を持っているかどうか」という点にしぼりすぎ、その知識や技術を生かせる臨床の場がないことが挙げられる。
心臓カテーテル検査の数には限りがある。 だから、いくら専門医が増えてもその技量を活かすことができない。
このように、専門医の基準を技量レベルによって認定せずに、会員歴や資格の有無によって認定することになったために、制度レアしての専門医が骨抜きにされたと考えられる。 いまの日本の専門医制度に積極的な意味を見出すとすれば、医者が努力して認定を得ること、その点にしか存在理由がない。

専門医としての能力を生かせる環境がないにもかかわらず、安易に専門医をつくりすぎている。 だから、患者側の立場からみれば、たとえ循環器病の専門医に診察を受けたとしても、その医者に臨床経験も情報性も少ないならば、本当に循環器病を専門に診ているのか疑念を持つのも当然だろう。
大学病院の勤務医であれば、専門医としての技能を活かす機会はあるかもしれない。 開業医の場合には、たとえ自らが経営する医院の看板に専門医を掲げたとしても、自分の専門分野だけを診ていれば医院経営が成り立つ環境にはない。
当然のことながら、とくに地方ではその傾向が強い。 専門医制度があまりに細分化しすぎて、患者にとってのメリットがなくなったことによる。
厚生労働省は、医療機関が名乗れる診療科の種類を見直し、2008年4月1日より実施した。 従来は自由に標梼できたが、「呼吸器内科」「消化器内科」あるいは「肝臓・消化器外科」「糖尿病・代謝内科」というように、外科、内科という大きな区別をして、さらに専門的な臓器を記載することになった。
ただこれも、専門医の資格の有無とは関係なく標梼できるので、それほど大きな改革とはいえない。 いまの専門医制度は医者がその資格をとること自体に価値があり、実態としては医者の自己満足で終わっていることに近いように思う。
もしそうだとするならば、日本の専門医制度は壮大な無駄をしていることになる。 医療全体でみれば、必ずしもすべての医者が専門性を持つ必要はない。
開業医の場合は、専門性よりもむしろ医療全般の知識を持つことのほうが必要である。 そのために「総合科」という診療科を開業医に標梼させようとしている(Y新聞2008年5月)厚生労働省は診療科の垣根を越えて患者を診る「総合科」を新設すると打ち出した。
初期医療を担う開業医に総合的な診療能力あれば、医療がもっとスムーズに行われるだろうという考えからである。 「かかりつけ医(総合科医)」ということを厚生労働省が開業医に求め、明確にひとつの診療科としようとしている。
「かかりつけ医」とは、病気になったときにまず相談する医者のことで、予防も含めて日常的な医療相談にのってくれる関係を築けるようにすると、患者にとっては心強い存在だ。 大病院へ診察に訪れる前に、「かかりつけ医」の意見を聞くことで、より効果の高い医療につながると期待されている。
厚生労働省が「かかりつけ医」を浸透させようとする背景には、病院勤務医の仕事量を減らすという狙いもある。 難しい病気はなんでも病院に回してしまうことをやめれば、医者の労働配分を適正にできるという読みであろう。

総合科医が制度化されれば、メリットも大きいかもしれない。 だが問題もある。
その認定をどう行うかだ。 総合科医がスタートすれば、その影響は医学教育にまで広がることになるだろう。
だが、いまの医学部の体制では総合的な診療の指導能力のある医者がそれほど育っていないので、まず医学教育のあり方そのものの改革に着手しないと、看板の掛け替えだけで終わってしまうことにもなりかねない。 専門医の本質的な問題は、専門医の診察を受けたときに、診療報酬に差がでるかどうかだろう。
医師会の高齢の開業医の多くが専門性を持たないので、現状のまま専門医による診療報酬を上げてしまえば、既存の開業医は収入面で差をつけられることになる。 医師会としては避けたいことなので、診療報酬を上げることには着手しないだろう。
ただ開業医のなかでも専門性を持つ医者が増えてくれば、専門医の診療報酬を引き上げることも起こってくるだろう。 アメリカの専門医制度のように、専門医による診療報酬が高くなって高収入が得られるということになると、病院勤務の医者たちは、専門医の資格を取ることに多くの時間を割くことになりかねない。
最終的には医療費を押し上げるようになるであろう。 名医や病院のランキングを紹介した本がたくさん出版されているが、その手の本の信悪性は低い。
その理由は評価方法が定まらないからだ。

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